建築・都市計画論領域は、人間と空間との関わりを深く考察し、人・社会・コミュニティが過去から未来へとより良く、より豊かになるための、建築・都市・地域空間の計画・デザインに関する研究と実践に取り組んでいます。人間と環境とは本来は「一体」であり、人間と環境はともに進化し発展するという考え方、言い換えれば「人間・環境系」の持続性という視点を持つことにより、私たちが対象とする空間スケールは建築から都市・地域レベルまで、専門領域は建築計画、都市計画、農村計画まで、そして時間については、記憶・歴史から未来の構想へと幅広く展開しています。

また、当領域は発足当初より集落・都市の研究を積み重ねてきており、その取り組みの土台として「地域文脈(地域コンテクスト)」という概念を大切にしています。私たちが直接体験する空間は、目に見えない社会組織、イメージ構造(心的構造)、経済的構造、そして地下水系や地質などを含む地形・地盤によって支えられ、成立しています。一方、近代以降は建築・土木構造物が硬質化・垂直化し、これらの関係が断絶されていると考えられます。私たちは、国内外の様々な集落・都市・ニュータウンを対象にフィールド・スタディを行い、空間が成り立つ(目に見えない)仕組みを解読し、人や社会が生き生きとする空間計画とまちづくりの実践を行っています。

今後は、他分野との連携もより積極的に進めていきます。近年は、人口減少、貧困、経済格差、紛争、気候変動、大災害など、建築・都市系の専門分野だけでは解決できない複雑な社会課題が山積しています。建築・都市系の人材が、文理を超えた研究者や実務者と協働し、空間計画とまちづくりを行うことにより、社会課題を解決していくことが必要であると考えています。当研究室の教員は、本学の超域イノベーション博士課程プログラム、ならびに社会ソリューションイニシアティブ(SSI)の運営にコアメンバーとして参画し、授業や研究を共同することで、地球規模課題の時代における建築計画・都市計画の新たな方向性が示唆されつつあります。